その日は用事があり、いつもと違う遊歩道を通っていました。
雨があがり、葉っぱや石ころが光っていて気持ち良い。
ちょっと先の大通りからは想像もできない、心地よい遊歩道。
家の近くまでいくと、左からフッと現れた影が歩道を通り過ぎるのが見えました。
それは・・・
白く透き通った成猫。一瞬で「生きていない」と感じました。
透き通った猫は、まるで私など眼中にないように真っ直ぐに進み、右の茂みの中へ消えていきました。
それだけのことなのに、なんだかとても気になりました。
猫の「行かなきゃ」と言う強い意思を感じたのです。
理由を察した私は、迷わず右の茂みをのぞき込みました。

ヽ州 ̄ 台  ̄州ノ あ!やっぱりいた!!
母猫そっくりの、白黒の子猫が一匹、目を真ん丸にしてこちらを見ていました。
大きさから、生後二ヶ月くらいでしょうか。
州 ̄ 台  ̄州 可愛い~~

こっちにおいで♪
伸ばした手に驚いたのか、子猫は茂みから飛び出して走り出し、追いかけたら猛ダッシュで逃げて行きました。

ごめんよう。脅かすつもりじゃなかったんだ・・
怖がっている様子に、それ以上追いかけるのを止めました。
州 ̄ 台  ̄州 無事に生き延びられると良いなぁ
その場はそれで終わり、子供たちに「こんな子猫がいたんだよ~」と伝えておきました。
その日の夜。
真夜中に、体調を崩していた子供が起きたので、水分を摂らせようと居間の電気を点けたときのことです。
・・・ミャー・・・
どこかから子猫の声がします。
ミャー・・・ミャー・・ミャー!!
鳴き声はどんどん大きくなって、どうやら居間のすぐ外まで来た様子。
窓を開けると、先ほどの子猫がちょこんと座っていました。
今度は逃げません。
州 ̄ 台  ̄州 お腹がすいたんだね。ちょっと待ってて。
家にあったエサを小皿で与えると、子猫あっという間に平らげ、再び鳴き出しました。
また小皿にエサを盛り、与えること数回。
最後はエサを残しているのに、鳴き出したのです。
州 ̄ 台  ̄州 家に入りたいんだね・・
体調の悪い子が居たので躊躇がありましたが、子猫があまりにも必死に鳴くので無視もできず。
子供と相談の上、窓を開けました。
子猫は急いで入ってきました。喉を盛大に鳴らしながら。
なでていると、子猫の思いが押し寄せました。
不思議ですが、昔から、手に触れた相手の感情が伝わることがあります。
この子は猫には珍しく、一人っ子だったようです。
急に帰らなくなったお母さん。
虫を追いかけたり、水たまりの水を飲んだりしながら待っていたけれど、真っ暗になってもお母さんは戻りません。
お腹が空いて、不安で、物音が怖くて。
おそらく数日だったとは思いますが、子猫の恐怖はどれほどだったことでしょう。
そこに急に人間(

州 ̄ 台  ̄州)が覗いたもんだから、びっくりして走り出し、
真夜中になって不安でいっぱいになっているところに、パッと電気のついた場所がありました。(イオン家)
子猫は反射的に走ってきて、必死に鳴いたのです。
すると・・美味しいご飯が出てきた!
あったかい家に入れてくれた!なでてくれた!あったかい!ママー!ママー!!
・・・涙が出てきました。
子猫は嬉しさのあまり、ママに会えたと錯覚するほど感情が混乱しています。
汚れた体を精一杯すりすりして、肩まで乗ってきて顔をなめ、膝の真ん中でお座りして。眠るのかと思いきや、やっぱり起きてまたすりすりして。
これ以上どう表現したら良い?と言うかのように、甘えてきたのでした。
いじらしくて愛おしくて、もう、誰がこの子を外に出せましょう。
その後しばらくはイオン家で里親探しをすることとなりましたが、人間を信頼しきって何でも我慢できる、本当に良い子でした。
たくさんの猫を見てきましたが、こんなに性格の良い猫はめったにいません。
ほどなく里親さんも見つかり、そこでちょっとした事故?で子猫まで産んで、大切に育ててもらっています。
性格が似たのか、子猫もまた人懐っこくて、里親さんの大きな癒しの存在です。
時々会わせてもらいながら、あの日のことを思い出します。
そして思うのです。
母猫は、特に私を意識していたわけではありませんでした。
ただ子猫が心配で帰っていただけ。
私は体調の悪い子供が心配で、真夜中に電気を点けただけ。
明かりを見つけて、子猫は自分の力でイオン家に走り寄りました。
そして家に入れてもらえるよう、全力で鳴きました。
それぞれが、自分のやるべきことをやっただけ。
狙ったわけではないのに、期待していたわけではないのに、思わぬ奇跡を共有することが出来ました。
目的と結果の大きさは、必ずしも比例しないですね。
それに。
育てあげられなくて無念だったかもしれないけど、母猫は子猫をちゃんと守りました。
(なんとなくですが、車にぶつかってしまったように感じます)
母猫を失ったことはとても寂しいことだったけど、子猫は幸せなニャンライフを手に入れることが出来ました。
願いは形を変えて叶うことがあるから、やるべきことをやっていけば大丈夫。
そう教えられた気がします。
やるべきことは、必ずしもやりたいことではなくて、私自身、「こんなはずじゃなかった」と思うことが多いですが。
腐ってちゃいけませんね。
形を変えて、夢を叶えていく過程なのかもしれない。
いまは無理でも、ここぞと言う時、私も全力で鳴いた子猫のようでありたいです。
ブゥーー

(子猫にはなれないらしい)
そんなこんなで、迷い猫を保護しては里親さんを探すこと、実は一回二回ではありません。
それぞれがドラマで、機会があればまた書きたいです。
大した内容ではないですが、ブログは自分のペースで、無理なく続けていけたら良いな、と思っています。
それではまた。州 ̄ 台  ̄州ノ